キス、涙々。
くしゅんっ
今日何度目かのくしゃみに、となりを歩いていたハギくんがこちらを向いた。
「風邪引きかかってんのに寄り道しようとしたんだ」
「うう……だってぇ」
「そんなに行きたかったの?」
「……うん。行きたかった」
まさか断られるなんて思ってもいなかった。
たぶん一緒にきてくれる、となぜか思っていた自分がひどく図々しく思えて。
なんでわたし、ハギくんがOKしてくれるって信じ切っていたんだろう。
それでも相手がわたしだから断ったわけじゃないらしく、そこだけはほっとした。
今日はバイトなんだって。
だから駅まで一緒にいくことにしたんだ。
「でもほんとびっくりした、とうとうおかしくなったのかと思った」
「なんで?わたしがパフェを吸うって言い間違えちゃったから?」
「いや、ちが……。俺からしたら猫も吸えるか怪しいんだけどね」
「猫は吸えるよ。液体だもん」
「固体だよ」