キス、涙々。


くしゅん、またくしゃみが出る。

すると肩になにかが乗せられて、確認するとそれは灰色のパーカーだった。



「これってハギくんのだよね」

「貸してあげるから着てなよ」

「でも……」


「見てるほうが寒くなる。ほんとに風邪引かれたら、なんか後味悪いし」

「もし引いてもハギくんのせいじゃないよ?」

「いいから黙って甘えてろってば」


でも、これを貸してもらったらハギくんが薄着になるんじゃないの?

そう思ってとなりを見たけど、その心配はいらないほどに着込んでいるハギくん。

端から見てもまったく寒そうじゃなかった。


肩にかけられたパーカーをきゅっと握る。




「ハギくん」

「ん?」



「これ、校則違反だけど……」

「あーわかったもう着なくていいです。返せ」


ひく、と頬を引きつらせたハギくんはあろうことか無理やり引っぺがしてこようとする。


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