キス、涙々。
「わーっ!ごめんっ、ごめんなさいっ!貸してくださいっ」
「もう遅いんだよ。身ぐるみ全部剥がしてやる」
「風邪引いちゃう!」
「心配ないよ馬鹿は風邪引かないから」
「わたしが馬鹿って言いたいのですか」
「そうだよバーカこの鈍感馬鹿」
「ど、鈍感馬鹿!?」
ぎゃんぎゃんと言い合いしながら歩くわたしたち。
先に諦めたのはハギくんのほうで、ふたたび手荒にパーカーを頭からかぶせられる。
ハギくんの気が変わらないうちに、わたしは袖に腕を通した。
「えへへ、あったかい。ありがとうハギくん」
「ったく……最初から素直に着とけば無駄な体力使わなかったのに」
「でも動いたおかげで身体もちょっとぽかぽかするよ」
「それ熱が上がったんじゃ?」
言われてみればそうかもしれない。
内側から上気しているような感じがする。