キス、涙々。
目を覚ましたのは階下で話し声がしたから。
お母さんかな……いや、もうひとり、誰かの声がする。
いま何時かもわからなくて、時計を見上げるのも億劫だった。
なぜかうつ伏せの状態のだったわたしは、無意識に耳をすませる。
「……いつも、────…なってます。ましろさんの………」
「ええ、いま上で……れば、──…ってくれる?」
「じゃあ……少……だけ」
やっぱり誰か来ている。
男の人の声っぽいけど、一体誰だろう。
思考が弱まっていたわたしは、それ以上あたまを働かせられなくて。
ふたたび眠りにつこうとした。
──────
「うわ……ヤオ?」
「んぅ、おかーさ……?寒いから、はやく閉め……」
部屋は暖房をつけていて、ずっと扉をあけられていると冷気が流れ込んでくる。
ぶるる、と身震いをしながら身体をまるめた。