キス、涙々。
「なんで布団かぶってないんだよ。暑いの?」
「さ、寒い……」
ドアを閉められてもなお、まだ寒い。
それを率直に伝えると呆れたようにため息をつかれる。
そして────
「っ、と……かっるいな」
身体がふわりと宙に浮いた。
脇の下に差し込まれた手。
首がちゅうぶらりんで痛かったのも一瞬、次の瞬間には抱っこをされていた。
どうやら片腕だけでわたしを支えているのか、たまに落ちそうになる。
すこし前屈みになって動かれるたびに、身体の重心がぐらぐらした。
「やだ、こわいよ……」
「…………」
「お母さんってば……あれ、なんか薄くなったね……痩せた?」
何気ないひとことに、ぴしりと動きが止まった。
そのうちに身体を預けてしまおうと、肩に顔を乗せる。