キス、涙々。
「ヤオ、いつまでも寝ぼけてたら知らないよ」
「知らないって……?」
「さすがの俺も……なにするかわからないってこと」
俺って、お母さん……やんちゃしてたときみたい。
直接きいたことはないけど、お父さんがこっそり教えてくれたから。
わたしが知らなかった頃のお母さんに甘えてるみたいで、すこし嬉しくなった。
「いいよ……わたしの知らないこと、もっと教えて……」
すぐに返事はなく、しばらく沈黙に包まれる。
短い舌打ちがきこえて────
「この、風邪っぴき……バカ」
もう一方の腕も、そっと後頭部に回された。