キス、涙々。
「ねえ山上くん」
「や、山川です」
「山中くん。これ、全然気づいてくれないんだよ。どっちも。ひどいと思わない?」
「はあ。山川です」
なんのことかわからない、といった表情。
そりゃそうだ。
山下くんからの視線を感じる。
「俺の顔、なんかついてる?」
「あ、いや、むしろ何もついてないというか……」
「は?」
「な、なんでもない」
じっと、それこそ穴があくほどに見つめられる。
けど。
あいにく俺にそういう趣味はないし、ヤオのいない正門に用はない。
ピアスはあとでトイレに行って外す、と約束をして今度こそ横を通り抜ける。
「あ、そうだ山岡くん」
「なんですか?」
もう訂正する気も削がれたらしい。
半ばヤケクソといったように返事をする彼を振り返った。
「生徒会長のクラスって、どこかわかる?」