キス、涙々。
美晴ちゃんの胃に穴があくとは思えないけど、生真面目なところがある加賀屋くんは万が一もあるかもしれない。
いまだってほら、なにかを思って眉間を押さえて深い息を吐いている。
「加賀屋くんってなんで生徒会に入ったの?」
「知らん。いつの間にか入れられてた」
どうやらクラス担任の先生に、加賀屋くん曰く「一杯食わされた」らしく。
気がついたら生徒会、それも副会長になっていたんだという。
この人もなかなかの苦労人だな……
「と、とりあえず、あんまり根詰めすぎないようにね……?ほどほどに頑張ろうね」
「ありがとう。……ただあのハイテンションバカと一緒にってのがな」
ふっと一瞬やわらいだ表情が、思い直したようにまたすぐ怖くなる。
美晴ちゃんも同じことを言いそう。
その場合、加賀屋くんはローテンションだ。
ハイテンションとローテンション。
わりといいコンビなように、わたしは思えるんだけどなあ。
でも、
「俺の胃に穴があいたら、そのときは十中八九あいつのせいだ」
ふたりの仲の悪さは本当にお墨付き。
真顔でそんなことを言ってのける加賀屋くんに、苦笑しながらそう思った。