キス、涙々。


案の定、加賀屋くんは最高に意味わからない、という顔をしている。



「ごめんなさい」

「可愛いって言われても嬉しくねーんだけど」

「ですよね」

「ちょくちょく敬語になるの、それなに?」



まだちょっと加賀屋くんのことが怖いからだよ!

とは言えなかった。


失言に失言を重ねるわけにはいかない。


口をぎゅっと結んで聞こえなかったふりをすれば、手に持っていたボードを頭に乗せられる。



「聞いてんのかおい」

「あ、頭の形きれいじゃないから落ちちゃうよ」

「頭の形って、そこかよ」


「……ほらやっぱりかわ、」

「あ?」

「なんでもないです」



ちょっと笑ったかと思えば、つぎの瞬間にはすって真顔になる。


その切り替えの早さに感心した、そのときだった。





「あのぉーすみませーん」


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