【短編】私がお母さんでいい
そして


那雪ちゃんが幼稚園入学式の日


「沙友理さん、ここどこー?」


「お母さん、でしょ?」


「そうだったーお母さんどこに行くのー?」


「幼稚園だよー」


「お母さんも一緒に来てくれる?」


「お母さんは行かないよー」


「なんでー?」


「那雪がお友達と仲良くするのにお母さんいたら邪魔でしょー?」


「あー確かにー!」



「おい」




幼稚園になってから那雪は友達も出来た


ただ私は那雪の本当の母親じゃないってことが親御さんたちに知れ渡って



那雪の友達が私の家に来ることはなかった


寂しい思いさせてごめんね


でも那雪ならお友達いっぱい出来るよ



那雪が小学生になった時



「お母さん、詩織ちゃんと遊んでくる」


「うん、いってらっしゃい」



やっぱり友達出来てたんだね



安心する



中学生になると


「お母さん!部活何がいいかなー?」


「えー?やりたい部活は?」


「いっぱいあって数えきれない!」


「そんなことある…?」



ある日は



「お母さん!彼氏出来たよ!」


か、彼氏!?


「そ、そうなの!?よかったじゃん……」


那雪に彼氏か……



と思ったら


「お母さん……彼氏に振られた〜〜」


「失恋の味を今のうちに知りなさい」



那雪はどんどん大きくなっていった



あの頃子供だった那雪だったけど


那雪は素直でいい子で誰に対しても優しかった



まるで昔の雪菜を見てるみたい



私は那雪のお母さんで居れてよかった




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