箱崎桃にはヒミツがある
横に座っているのに喋らないのもあれなので、なんとなく二人はお互いのことを語り始めた。
「ほう。
お前は、おばあちゃんっ子なのか。
俺は、じいさんっ子だ」
「珍しいですね」
と桃が言うと、
「いや、みんな大抵、自分は、おばあちゃんっ子だというから、じいさんが可哀想だなと思って」
と言う貢に、桃は笑った。
「おばあちゃんっ子って言うときには、おじいちゃんも含まれてる気がしますよ。
なんとなく、おばあちゃんちって言っちゃうのと同じで」
「そういえば、ショーには箱崎さんが来られると聞いたが。
お前はおばあちゃんっ子なのに、おばあさんは来ないのか?」
そんな貢の言葉に、いや~と桃は頭を掻いて苦笑いする。
「それが最初は来てたんですけどね。
私がランウェイから転がり落ちるんじゃないかと思ってハラハラするから心臓に悪いって言って、来なくなっちゃったんですよ~」