ホントにわたしが好きですか?
昼休み。
私と啓斗くんは、二人でお弁当を食べている。
羽音は、遠くの席で学食食べながら見守ってくれているらしい。
数人の男子と喋りながら、伊月が食堂に入ってきた。
気がつく?気がつく?
凝視していると、こちらの視線に気がついたのか伊月がこちらに視線を投げた。
私は、慌てて目をそらす。
そして、啓斗くんと仲が良さそうに喋り始めた。
ぎこちなかったかな······?
焦っていると、スタスタとこちらに歩いてくる音が聞こえる。
その音は、私たちのテーブルに来て止まった。
見ると、伊月が眉間にしわをよせて私を見下ろしている。
「おい、こいつ、誰?」
親指で啓斗くんを指しながら伊月は、言う。
嬉しい。
なんのことであれ、伊月が自分から私に話しかけてくれたのは、とても久しぶりだった。
今は、そんなこと考えている暇じゃないとおもうけど、でも、それでも。
答えようと、口を開きかけたその時、別の人が私がしゃべるのをさえぎった。
「俺は、采明 啓斗。夕凪と飯食ってたんだけど、悪い?」
啓斗くんらしからぬ、強く凛とした声。
驚いて、呆気にとられていると、
「行こ、夕凪」
と言い、啓斗くんは私の腕を掴んで食堂を後にしたのだった。