極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
朝井まで調子に乗って俺に意見してくるので、ハーッと盛大な溜め息をついてネクタイを緩めた。
「お前たちといると疲れる」
それから店を出てふたりと別れ、梨乃をタクシーに乗せて家に向かう。
マンション前にタクシーが着くと、彼女の肩を揺すって起こした。
「梨乃、着いたぞ。もうすぐベッドで寝れるから頑張れ」
「……ん?」
彼女はうっすらと目を開け、ボーッとした顔で俺を見た。
「降りるぞ」
子供に言うように声をかけると、彼女は「あい」と返事をしながら俺と一緒にタクシーを降りた。
覚束ない足取りで歩く彼女を支えて自分の部屋まで行く。
玄関にようやくたどり着いたが、梨乃は靴を履いたまま廊下に寝そべる。
「こらこらここで寝るんじゃない」
梨乃の靴を脱がして注意すると、「はーい」と目を瞑ったまま謝った。
「シャワー……浴びなきゃ」
いきなり立ち上がって、彼女は着ていた服を一枚一枚脱ぎ捨てバスルームに向かう。
すぐにベッドに行かないのか。
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