極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

「だいぶ慣れて来たんです。ちょっと前までは口聞くのも恐れ多い存在だったんで。なんていうか江戸時代の将軍みたいな」
クスッと笑って俺をからかう彼女。
「で、大奥があるって想像してただろ？」
わざとムスッとした声で追及すると、彼女は笑って誤魔化した。
「あはは」
しっかり想像してたな。
その後、本栖湖の湖畔にあるキャンプ場に車を停め、地面にレジャーマットを敷き、その上にホッとクッションを置く。
今日はこの冬一番の冷え込みで、晴天だが気温は四度。
吐く息も白く、ダウンジャケットを着ていても寒さを感じる。
だが、眺めは最高。
時刻は午後五時過ぎ。
月明かりの中で見る富士山は絶景だった。
「綺麗」
ほうっとしばらく景色を眺める梨乃。
そんな彼女を見ていると、ここに連れてきて正解だったと思う。
いろいろとキャンプの準備をしていたら、梨乃がクッションを手に取った。
「わあ、このクッションあったかい」