極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

パスタを咀嚼しながら冗談っぽくそんな話をする彼女にちょっと踏み込んで言った。
「夫としては考えてないのか？」
ゴクッと唾を飲み込む彼女。
「そ……それは……。急にリアルな話を振らないでくださいよ。返答に困るじゃないですか」
動揺しながら俺を責める彼女を見てニヤリとする。
「困るってことは考える余地はあるんだな？」
「揚げ足取るの狡いですよ」
上目遣いに俺を見る彼女に軽く謝った。
「悪いな。そういう性格なんだよ。今はもう尋問しないから食べろ」
「今はって後で尋問するんじゃないですか」
彼女の指摘にフッと笑う。
「なかなか鋭いな」
パスタの後はデザート。
近くの林で木の枝を拾い集め、焚き火をする。
「炎ってなんか見入っちゃいますね。高校の学園祭のキャンプファイヤー以来ですよ。こういうの」
彼女の話に、懐かしくて笑みが溢れた。
「梨乃の時代にもキャンプファイヤーしたんだな。あれ始めたのは俺たちの代からだ」