極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「え?そうだったんですね。すごい盛り上がって、あのキャンプファイヤーを一緒に見るってカップルがいっぱいいましたよ。私は友達と見てましたけど」
どこか自虐的に笑う彼女。
だが、俺にっては悪い話ではない。
ここで恋人と一緒に見ていたと言われたら、過去のこととはいえちょっと面白くなかっただろう。
「俺も主催側だったから、亮太たちとずっと一緒だったな」
そんな思い出話をしながらマシュマロをビニール袋から取り出したら、梨乃がすぐに反応した。
「あっ、マシュマロ。ひょっとしてその焚き火で焼くんですか?」
「そう。はいこれ、炙って」
マシュマロを金串に刺して梨乃に手渡すと、彼女は子供のように目をキラキラさせた。
「わあ、一度やってみたかったんです。優はやったことあるんですか?」
「滝川と。あいつ甘いの好きだからノリノリでやってた」
俺はマシュマロを焼くつもりはなかったのだが、あいつが買ってきて『キャンプの定番だからやろう』と言ったのだ。
< 159 / 243 >

この作品をシェア

pagetop