極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「なんか想像出来ます。滝川さんマシュマロひと袋全部食べちゃいそう」
俺の話を聞いてクスッと笑いながらマシュマロを火で炙るが、角度が悪かったのか地面にボトッと落ちた。
「あっ!」
固まる梨乃に俺が持っていたマシュマロを渡す。
「はい、これ。結構ドジって言われないか?」
「よーく言われます。お兄ちゃんとか親友に。次はちゃんとやります」
寒いのに腕まくりして慎重にマシュマロを炙る彼女。
その目は真剣だ。
そう言えば、滝川も真剣な目で炙っていたな。
梨乃も甘いものが好きみたいだし、スイーツを目にすると気合いが違うのかもしれない。
「それくらいがいい」
キツネ色に焼けたマシュマロを見て梨乃に声をかけると、「いただきます」とご機嫌な顔で言ってマシュマロにかじりつく。
「あっ、熱い!……でも、美味しい。この蕩ける感じがいい」
ほくほく顔でマシュマロを食す彼女を見て、つくづくこういう瞬間が大事なんだって思う。
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