極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
真顔で説明する彼の言葉にクスッと笑った。
「ずいぶん余裕があるように見えますよ」
ああ、私……あんな怖い目に遭ったのに笑ってる。
それは優のお陰だ。
「それはポーカーフェイスが得意だから。さあ、早く目を閉じないとくすぐるぞ」
彼が私の脇腹をくすぐってきたので、身を捩りながら声をあげた。
「それやめてください。目を閉じます」
優の両手を掴んでゆっくりと目を閉じたら、彼が私の瞼に軽くキスをした。
「いい子だ」
子供扱いされてるけど、大事にされているのがわかるから嫌じゃない。
彼が頭を撫でてくれて、ずっと緊張状態だった身体がリラックスしていく。
頭は興奮状態で眠れないと思っていたのだけれど、彼の体温で私の身体もあったまって、なんだか静かな海に浮かんでいるような気分になってきた。
とても穏やかで気持ちが落ち着く。
心の中の恐怖が消えて、そのまま意識を手放した。



眠りが浅くなってパッと目を開けると、間接照明はついているが辺りはまだ暗かった。
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