極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「いえ、なんでもありません。昨日はいろいろとありがとうございました」
ハハッと笑いながら礼を言うと、彼はフッと微笑した。
「メガネだとますます優等生に見えるな。今日は残業せずに帰れよ」
北條さんにも寝坊したってバレてそう。
「はい」
苦笑いしながら頷くと、北條さんは滝川さんに呼ばれて行ってしまった。
「北條さん、あんな風に笑うんですね。いつも無表情なのに」
北條さんの後ろ姿を見送りながら朝井くんが少し驚いたように言った。
「私も昨日一緒に仕事して印象変わった。ここだけの話、今まで結構苦手だったんだけど、発送作業のような仕事も手伝ってくれていい上司だなって見直したよ」
声を潜めてそんな話をすれば、朝井くんは悪戯っぽく目を光らせた。
「惚れました?」
「それはないよ。上司は異性として見ないし、それに私は恋愛とか結婚に興味ないから」
表情を変えずに即答すると、彼は意外そうに私を見た。
「え?じゃあ、今恋人いないんですか?」
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