極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
『子供にラブホ行くとこ見られるなんて何やってるのよ?!』
『煩い!俺にも息抜きが必要なんだよ!』
両親が言い争う声が階下から聞こえてきて思わず耳を塞いだ。
『私のせいだ。私のせいでお父さんとお母さん……喧嘩になっちゃった』
次の日、父は家を出て行って両親は別居。
父は私に別れの挨拶もしなかった。
泣きじゃくる私に母は冷たい視線を向けていた。
『梨乃が何も言わなければ、こんなことにはならなかったのよ』
『ごめ……ん……なさい。ごめん……なさい』
泣きながら母に謝る私。
『あんたなんて生まなきゃよかった』
憎らしげに母が言って、そこでパッと目が覚めた。
涙で枕が濡れている。
「……夢か」
ゆっくり起き上がると、手で涙を拭った。
両親が離婚するきっかけを作ってしまった時のことをまた夢で見た。
心の傷……いや自分が家族を滅茶苦茶にした罪は消えない。
自分の無邪気な発言が家族を不幸にした。
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