極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
「あっ、起きたのか?」
北條さんが私に気づき、雑誌を閉じて横に置いた。
「はい。すみません。部長の家でこんなに寝ちゃうなんて」
人の家で何やってるんだろう。
もう思い切り罵って下さい。
頭を下げて謝るが、北條さんは怒らず優しく私の身体をいたわる。
「それだけ疲れてたってことだ。気にするな。腹、減ってないか?」
打合せに遅れるとギロッと睨むのに、今日はとってもマイルド。
北條さんに問われ、お腹に手を当てた。
「あまり空いてなくて……。あの気にしないでください。後でコンビニで何か買いますから」
昨日も夕飯食べてないし、朝も食べてないけど食欲はない。
昨日うちに空き巣が入ったんだもん。
食事どころではない。
犯人は捕まっていないし、これからどうしたらいいのか。
そんな私の不安を察してか、彼は私を元気づけるように言った。
「それじゃあいつ食べるかわからない。スープでも飲んでおけよ。朝作っておいたんだ」
「いや、そんないいですよ」
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