極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

彼のペースについていけず、思わず聞き返した。
「ショッピングモールかな。いろいろ揃える必要があるし」
「いろいろ？」
「日用品とか食器とか。今まで気ままなひとり暮らしだったからな」
その言葉でピンときた。
多分私のものを買うつもりだ。
そこまで上司にさせる訳にはいかない。すでに多大な迷惑をかけているのだ。
「いや、私のためにいいです。貴重な週末なので、優はゆっくり家で……！」
「俺も買いたいものあるから、梨乃のはそのついでだ」
私の言葉を遮ってフッと笑う彼。
強引にことを進めても、気を遣わせないようにするところは流石だ。
その後、優の車で郊外のショッピングモールにやって来たのだが、周囲を気にしながら彼から数歩離れて歩いていたら変に思われた。
「何でそんな離れてる？」
「あの……その……会社の人に会ったらマズいと思って」
今こんなやり取りをしているところも誰か会社の人に見られているかもしれない。
ハラハラしている私とは対照的に優は平然としていた。