極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
いろいろ突っ込みたいところはあったのだけれど、少し怖い顔で言われ、何も言い返せなかった。
タクシーを呼んで会社に出勤し、朝から仕事をこなしていくが、栗田さんがずっとスマホを見ていて全然仕事をしていないのが気になった。
すごーく注意したいがグッと堪える。
何か言えば専務の逆鱗に触れてあらぬ言いがかりをつけられて辞めさせられる。
見て見ぬ振りだ。
そんな私とは対照的に隣にいる朝井くんは彼女を見て顔をしかめた。
「また栗田さんスマホ見てますよ。ちょっと注意してきます」
スッと席を立って彼は彼女の席に言った。
朝井くん、強いなあ。
彼にちゃんと仕事をするように言われ、彼女は怒ると思っていたのだが、意外にも素直に謝った。
朝井くんが戻ってきて席に着く。
「すごいね。朝井くん、どんな魔法使ったの?」
声を潜めてそんなことを尋ねると、彼はフッと笑った。
「別に何も。でも、最近北條さんや滝川さんが注意しても反抗しないので、僕も大丈夫かなって」
ああ。
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