極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
まさか、優って言うんじゃあ?
「ふーん、そうなんだ」
心臓はバクバク。
しかし、平静を装って相槌を打ったら、彼はデスクに片肘をついて私の方を見た。
「滝川さんと一緒の匂いがするんですよね」
優の名前じゃなくてホッとする。
何だ滝川さんか。
「俺と匂いが一緒って誰?」
噂の本人が背後から現れ、ハッとする。
「滝川さん、背後から声をかけないでくださいよ。ビビリますって」
「だったら予告するのか?で、誰と匂いが一緒だって?」
滝川さんが朝井くんに顔を寄せる。
「藤原さんのシャンプーの匂いと一緒だって話です。滝川さん、地獄耳ですね」
ニヤリとする朝井くんに滝川さんはわざと怖い顔で言う。
「お前上司に地獄耳はないだろ?それに女性社員に匂いの話をするなんてセクハラだから気をつけろ」
「はーい。すみません」
朝井くんが少ししゅんとして謝ると、滝川さんが彼の頭をポンと叩いた。
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