極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
そう疑問に思う私の口から手を外し、彼は私にマンションのカードキーを差し出した。
「リビングのテーブルに置きっ放しになってた」
「あっ……。朝慌てちゃって、すみません」
謝りながら鍵を受け取り、服のポケットにしまう。
「次からは気を付けろよ」
ポンと私の頭に手を置き、彼はフッと微笑する。
「はい」
「先に行け」
優に言われ、彼から離れてドアを開けると、すぐそばに滝川さんがいた。
うわっ、何でこのタイミングで会うの〜!
「た、滝川さん?」
驚きで声がうわずる。
早くドアを閉めればよかったのに、手が動かなかった。
「藤原さん、部長見なかった?さっきまで海外企画室にいたんだけどなあ……って、いるじゃないか。何、今度こそ逢い引き?」
滝川さんが寄ってきて優が会議室にいるのがバレた。
きゃあ〜、何て言って誤魔化そう。
必死に言い訳を考えていたら、優が平然とした顔で答えた。
「また今日も佐藤課長に残業を頼まれてないか藤原に確認してた」
< 77 / 243 >

この作品をシェア

pagetop