極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
ニヤニヤ顔で言う滝川に冷ややかな視線を投げた。
「早合点するな。亮太は今いないし、第二の兄として見守るつもりだ」
「おっ、案外あっさり第二の兄って認めたな。でも、お前まだ何か隠してそう」
こいつがじっと俺を見据えるので無表情で返した。
「やましいことは何もしてない」
「その目が怪しいんだよな」
梨乃がうちに同居していると言ったら、俺をますます弄りそうだ。
「勘繰り過ぎだ。で、俺に何か用があったんだろ?」
話を逸らすと、滝川もしつこく追及しなくなった。
「ああ。専務秘書から内線があって後で専務室に来てくれって」
「専務か。何の呼び出しだろうな」
彼の言葉を聞いて少し顔をしかめる。
「いい話じゃないのは確かなんじゃないの?」
茶化すように言う滝川と目を合わせフッと笑う。
「言えてる」
剛田専務は野心家で中国への進出を推進していて、欧米でのシェアを拡大したい社長と意見が対立している。
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