極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
証拠はまだ掴めていないが、滝川や沖田に頼んで調査させている。
佐藤課長は専務の忠実な下僕のようなものだから、彼を見張らせればそのうち尻尾を掴めるだろう。
来年の四月の異動については口出し出来ないようにしてやる。
海外企画部に戻ると、コミュニティースペースでコーヒーを飲んでいる滝川と朝井を見つけた。
「ふたりとも暇そうだな」
滝川と朝井に声をかけたら、ふたりは声を揃えて「ちょっと休憩してるだけですよ」と言い訳する。
周囲には他に誰もいなかったが、ふたりに近づき声を潜めた。
「さっき佐藤課長が専務室に入っていった。朝井、佐藤課長がうちのデータ持ち出してないか調べておいてくれ。滝川、引き続き課長を見張れよ」
俺がそう指示を出すと、ふたりは俺の目を見て静かに頷いた。
滝川に課長を見張らせているのは専務の件もあるのだが、他にも理由がある。
課長が故意に梨乃を残業させているように感じたのだ。
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