極上御曹司に初めてを捧ぐ~今夜も君を手放せない~
『俺の妹だから当然』
亮太によく妹のことを聞かされていたせいだろうか。彼が渡英することになって『梨乃のこと頼むよ』と彼女のことを任されても面倒とは思わなかった。
靴を脱いで家の中にあがり、「ただいま」と言いながらリビングに入って唖然とした。
梨乃が白のキャミソールとショーツ姿でソファに横になって寝ている。
目の下にはうっすら隈が出来ていた。
空き巣の件もあって俺のマンションに越して来て疲れているのだろう。
俺が兄のように思えと言っても、彼女の方はそう簡単に切り替えができないようで、下の名前で呼ぶようになったもののまだ家でも敬語。
上司の家に居候しているとしかまだ思えないのかもしれない。
俺とこの家にいる時の梨乃は居心地悪そうにしている。
リビングにいても、『あのソファに座りますね』とか『お風呂お借りします』とかわざわざ俺に報告する。
自分の家と思って過ごしてほしいのだが、彼女は気を使っている。
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