極上御曹司に初めてを捧ぐ～今夜も君を手放せない～

亮太の前でも下着姿でいたのだろうか。
そんなことを考えたら、少し胸の中がモヤッとした。
テーブルには梅酒の缶と梅味のポテトチップスが置かれている。
どっちも梅。
そんなに梅が好きなのかと突っ込みたくなる。
それにテーブルには箸が転がっていた。
ポテトチップスを箸で食べていたのだろうか？
あまりその姿が思い浮かばない。
会社ではおしとやかで何事もキチンとしている印象だったし、俺の家にいる時だってちゃんと部屋着を着ていた。
きっと、今日は俺が遅くなるから油断していたに違いない。
だが、俺がいないことで、少しでもリラックスできたのならそれでいい。
梨乃を抱き上げたら、彼女が寝言を言った。
「お母さん……ごめん……なさい」
その声がどこか悲しげで胸が痛くなる。
どんな夢を見ているのだろう。
亮太からは、『両親が別居するようになってから梨乃は毎晩声を殺して泣いていた』と聞いている。