運命のあの人は
あさひに照らされる彼もまた美しかった
しばらくすると綺麗な女の人がはいってきた。
きっと彼のお母さんだろう
「こんにちは」
にっこり微笑みかけてくる女性
「こ、こんにちは」
「あなた、もしかして楓が命をかけて守った子、、、?」
楓、、、楓くんっていうのかな
「あ、え、あの、、、」
また自然と涙が溢れてきた。
私には何も言えなかった。
ただ申し訳なかった。
でも私は責任から逃れたくてこの涙を流したのかもしれない。
「すいません、すいませんでしたっ、、、」
女の人はゆっくりと微笑んで言った
「良いのよ。あの子が命をかけて誰かを守るなんてびっくりしたけど、少し嬉しかったのよ。
あなたが悪いわけじゃないわ。もちろん最初は悲しかったし、今も悲しいのは当たり前だけど。でも楓のことで責任を感じないで。」
なんて優しい人なんだ。
でも、私の罪は消えない。
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
「看護師さんが言ってたわ。あなた、ずっと謝ってたんでしょう。
でもね、楓も、せっかく守ってあげた子に謝られてばっかりじゃ悲しいと思うの。だからね、『ごめんなさい』じゃなくて、『ありがとう』って伝えてあげて。」
そう言って私の背中を撫でてくれる。
『ありがとう』、、、、、、、。
そっか、、、、、。
私せっかく守ってもらったのにありがとうって言ったことなかった。ごめんなさいって謝ってばっかりで。
ありがとう、、
「ありがとう、ありがとう、本当にありがとう。」
心の底からありがとうって、思った。