Zircan
「ねぇ、こんなところで何しているの」
話しかけたのはジルカンのメンバーとあまり歳が変わらなそうな青年だった
「何もしてない」
「何もしていないなんてことは、その泣き顔を見せないで言わないとダメだよ」
サミュアは地面に座ったまま涙が止まらずにいた
青年とは目を合わせたくなくて俯いてしまう
「俺は君のこと知っているよ。最近噂というか指名手配されている、ジルカンのサミュア=ウォルクリアスでしょ」
変装していてバレないはずなのに正体を知られてしまっていた
「合ってるよね」とでも言いたげな声音で問いかける
(でも、もしかしたら適当に言っているだけかもしれない)
サミュアは完全にはバレていないと思いたい
「さっきからずっと見てたけど君の能力って便利だね。相手に姿を見られずに気配まで消せるんだから。それに加えてバリアまで出来るんだよね」
(完全にバレている)
サミュアはバッと青年の方を向いた
すると青年は笑顔でサミュアの頬を流れ続ける涙を拭う
「安心して、通報はしないから。ただ一緒に話をしたいだけ」
「本当に?」
「もちろん」
サミュアは話していてすぐに青年の優しさに警戒心が解かれていった
「どうして泣いているの?」
「リオとデリッド、私たちのリーダーと副リーダーが私とはもう居たくないって言っていたから」
思い出すとまた涙何溢れてくる