千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
クラスに戻るとタロくんの周りは人だかりになった。

「何処からきたんですか?」

「年上にみえるんですが、帰国子女とか?」

「今度、お昼でもご一緒にどうですか?」

「なぁ、波瀬って頭めちゃくちゃいいんだな‥」

「代表の挨拶よかったぞ‥!なぁクラス委員長やってくれよ!」

女子だけではなく今度は男女の大群‥もはやタロくんが見えないわ‥。

タロくん‥
高校生活、楽しんでね‥。
私が自分の席に戻ろうとした瞬間‥

「千歌夏様‥!!」

タロくんの声が響き渡る。

えっっ‥‥‥‥‥‥‥‥‥!!

一斉にクラスメイトが私を見ている。

「‥千歌夏‥さま?」

「今‥そう言ったわよね?」

「様って?」

「北條財閥のお嬢様‥」

「孤高のお嬢様‥」

私を見る目が氷のよう‥
タロくんに向いていた物とは別物だわ。
私は‥
やっぱり‥
ダメなんだわ。
身体がこわばっていく‥

「‥‥‥千歌夏様、お昼にしましょう。」

タロくんが私の肩を優しく触る。

その瞬間‥
あちらこちらから‥悲鳴や変な歓声が聞こえた。

「‥うん」
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