千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
千歌夏様‥退屈と言う名の幸せです。
俺が千歌夏様と星蘭学園に通うようになってから
1ヶ月‥
毎日、千歌夏様と行動を共にしている。
学校では、執事としてではなく、友達として接するように言われているので俺も、千歌夏様に合わせて接するように務める。
学校というものは、思った以上に退屈な場所だ‥。
教師は当たり前の事しか言わない。
教科書を見ればわかるような事をわざわざ‥時間をかけ、丁寧に説明している。
俺は‥今まで勉強を誰かに教わった事などない。
教科書を読めば何でも自分で理解できたから‥。

はぁ‥
溜め息混じりに欠伸が出そうになる‥。
昨日遅くまで仕事をしていたせいだろうか。
眠りそうになるのを堪えながら‥ふと斜め右の千歌夏様に目をやる‥。

千歌夏様は、教科書とにらめっこしながらノートを一生懸命に書いていた‥。
時折、教師の話を頷いている。

「‥ふっ」

彼女を見るといつも顔が綻ぶ‥。
千歌夏‥
あなたの側にいられて俺は、幸せだ。
俺がいれば‥あなたの学校生活も幾分か‥
楽になるだろうか‥
寂しくならないだろうか‥
一人ぼっちと言って嘆かなくて済むだろうか‥。

俺にできることは、これくらいだけど‥
千歌夏を少しだけでも‥幸せにしてやりたい。

幸せにしてやりたい‥。

俺は‥千歌夏を幸せにしたい。

きっとこの望みは叶わない‥
身の程知らずだろう‥
それでも‥
願わずにはいられない。

はぁ‥

それにしても‥この授業は‥

死ぬほど退屈だ。

早く、千歌夏様のお側で、何かして差し上げたいです‥。

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