千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
「…タロくん…」

「千歌夏様…無礼をお許し下さい…」

そう言ってタロくんは、私の顔に近づいてきてそのまま私の唇を彼の唇に重ねた。
ギュッッ…そして優しく抱きしめられる。

「………愛しています…
ずっとあなただけをお慕いしておりました…」

私の耳元で彼はそう囁き、その声は微かに震えていた。

…え…私の事を好き…

「私の醜い感情であなたを汚してはならないと思い…離れようと思いましが…どうやら、私にはできないようです…どうしようもなく…あなたが好きなのです…
認めようが認めまいが…変わらないというのに…」

そう言ってタロくんは、私から一歩離れた場所に立つ。

「…私はお嬢様の執事です…
それ以上でもそれ以下でもないです。」

「…タロくん」

「…髪を後でキレイにいたしますね…ではお嬢様、戻りましょう…」

そう言って優しく笑い、彼は執事の顔に戻った。
そして私に背を向けて歩き出す。

…タロくんが私を好き…
ドキン…ドキン…
タロくんが私を…
長い髪にそっと触れる。
前にタロくん…この髪の私の事…キレイと言ってくれたわね。
あの時…執事じゃないタロくんに胸が高鳴って…
私…

「タロくん…っっ!
私…私認めるわ…あなたが好きよ…」

そう叫びながらタロくんの背中にしがみついた。

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