千歌夏様‥あなたにだけです。〜専属執事のタロくん〜
笑った笑顔は、さながら天使だな‥。

こんなに綺麗な笑顔を俺は知らない‥。

「あの‥お名前‥教えて‥くれる?」

「‥名前?」

もしかして俺の?

「私は千歌夏‥」

ちかげ‥綺麗な名前だな‥。

「太郎‥」

「‥タロくん‥」

「え‥」

タロ‥くん?

何だ‥ビックリしたぞ‥急に‥天然か?

「私と友達になってくれる?」

彼女は、顔を真っ赤にしながらそう言った。

「‥私‥友達いないの‥タロくんなら‥友達になったら楽しそうって思って‥あ、ごめんなさい‥ダメだよね‥私となんて‥」

「いや、ダメじゃない‥つ!」

「え?ほんとに?」

彼女は、嬉しそうに俺を見つめた。

その嬉しそうな顔を見て、俺はなぜだかとても不思議な感情が込み上げてきた。

‥‥‥‥側にいたい‥という気持ち。

‥友達だなんて‥

初めてだ‥こんな俺にそう言ってくれた人は‥

遠くから‥また使用人の汚らわしい声がした。

「‥もう‥行かないと‥」

彼女は、眉を下げながら笑って俺を見た。

彼女に何かしてあげたい‥安心させたい。

「‥‥‥あの‥‥‥友達になるよ‥
これからは、俺がいるから‥。」

これからは‥彼女に汚らわしい物は見せない。

もう‥誰にも汚させはしない‥。

「‥うん‥」

こうして‥私と千歌夏様は出会ったのです。
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