呪イノ少女、鬼ノ少女
雛子は座布団を折り曲げて枕を作ると、そこへ澪を横にさせた。


「長旅で疲れたとこへ母さんの運転で、ホントごめんなさい。」


「全くっ!」と、雛子は両手を腰に当て憤慨していた。

本当にあの母親の娘だろうかと、疑問に思えるほどに真っ直ぐな女の子である。


「澪さんはしばらくここで休んでて。私は夕飯の準備の途中だから、また後で」

「うん、わざわざごめんね」


色あせた畳の上に横になって、澪は目を閉じた。

こうして横になると体に纏わりついていた鉛のような疲労が、少しだけ解けていくようだ。

開け放たれた縁側からは、涼しい風とともに虫の音が運ばれてくる。


「いかにも田舎って感じだー」


いい雰囲気である。

いい雰囲気ではあるのだが…。


「っの、馬鹿親!!」

「親馬鹿っていいなさいよ!!」


台所から母娘が大喧嘩する激しい物音が聞こえて台無しだった。


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