呪イノ少女、鬼ノ少女
「…ふぅ」


静寂が広がる居間に、憂いげで重々しい溜息が響いた。

澪だった。

ちゃぶ台の隅に箸を揃え、そうして意を決するように自身に頷く。

それから、正座を保ったまま、腕の力で茜の方を向き直った。


「お話があります」

「なぁに?雛子はお嫁に上げないわよー、なーんちゃって」


再び沈黙が訪れる。

今度は、澪と雛子の冷めた零度の視線のオプション付き。


「……ふぅ…」


澪の真剣な目に押されて仕方なく箸を置くと、ボリボリと頭を掻きながらちゃぶ台に頬杖をつく。


「どうしたの?」


きゅうりの漬物を一枚口に運んで言った。


「はっきり聞いてもいいですよね?」

どうぞ、と茜は肩をすくめる。

澪は、いささか不安の色を浮かべながらも、「では」と断り言った。


「茜さんと雛ちゃんは本当の親子じゃないんですか?」


茜はちら、と雛子を見た。

肯定、と頷いている。

「まー別に隠しちゃいないからいいんだけどねー。その通りよぉ、澪ちゃん」
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