呪イノ少女、鬼ノ少女
分かりきっている答えであるとはいえ、やはり茜自身の口から再度聞かされると気が重くなってしまう。


「やっぱり本当…だったんですね」

「だってー」


茜は雛子衿を掴んで引き寄せると、ぴったり顔をくっつけるようにして並べた。


「全然似てないでしょー?」


嗚呼、確かに。

父親似かと思っていたと言いかけたが、どうにも茶化すようで口にはしなかった。

だが、いくら似ていないとはいえ、まさか本当の親子では無いとは。

本人達の口から告げられた今でも、到底信じられない。

それくらい、二人は本当に仲睦まじい母娘なのである。


「っても、普通の親子と何も変わらないんだけどねー。私がすっごくだらしない母親だって事以外は♪」


からからと笑う茜。

それを無視して、澪は厳しい表情を作って、真っ直ぐ彼女を見据えた。


「なら、雛ちゃんを助けてあげて下さい!」


半ば叫ぶように、澪は茜に訴えた。

が、


「やぁーよ。どうして、私が助けなくちゃならないのよー」


つーん、と茜は顔を背けてしまう。

その態度には、流石の澪も癪に触るものがあった。


「なっ!茜さんは、母親でしょ!?」

「だからって、助けなきゃいけない訳じゃないでしょー?」

「ふ、ふざけないでっ!娘が虐げられて、ただ耐えるしか出来ないでいるんですよ!?」


まだ夕飯が残ったちゃぶ台に、ドンと怒りに震える拳を叩きつけた。


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