呪イノ少女、鬼ノ少女
「鬼…って」


雛子が息を飲む音がはっきりと聞こえる。

恐怖とか驚嘆のためではなく、何かに思い当たったような、そんな息の飲み方。


雛子の表情が強張り、唇に指を当てようとして、ブルブルと頭を振った。


「澪さんが見たのは火群村の鬼伝説の鬼かもね」

「鬼伝説?」


「そう。この土地に昔からある昔話。魂を食べてしまう鬼とそれを封印した珠祭のお話」


どこにでもよくありそうな話だが、あんなことがあった直後では、たかが昔話と一蹴する気にもなれない。


「鬼が山から降りて来て、たくさんの人が一杯殺されたの。で、そこで村の人達は、珠祭のご当主様に助けを請うた。……ああ、珠祭っていうのは、ずーっと昔に村の長を務めていた不思議な力を持った一族ね」


その主が、村の山の頂上に立つ御神木に封印したという。


「でも鬼はいくら封印しても、また蘇って、その度に珠祭のご当主が封印してきたんです」

「それで?」

「へ?」


間抜けな声が上がった。


「だから続き」

「終わりですけど?」

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