呪イノ少女、鬼ノ少女
大和は喉を踏みつけている足を掴んだ。

だが、いくら手負いとは言え、茜とは余りに自力に差があり、ぴくりとも動かない。


「……雛子は助けてって言わねぇよ。ほんとは助けて欲しく仕方がないってのに。あいつはゼッタイ口にしない!頑固にも程がある」

「強いのよ」

「違うだろ!!嘘つくんじゃねぇ!!分かってんだろ、あんた!雛子は弱い、誰かの庇護がなきゃすぐに折れちま……がっ!」


茜の足が、大和の喉を踏み抜いた。

肺で押しつぶされた空気が奇妙な音を上げ吐き出された。


「私だって!!」


突然茜の声が、響き渡った。

その声は酷く震えていた。

大和を押さえつけていた足を放し、その場に膝をついてへたり込んでしまう。


「あんただけじゃ、ないわよ。私だって……いつだってあの子を守ってあげたいわよ!」


いつも飄々として本心を見せない茜の顔が涙でくしゃくしゃに歪んでいた。


「可愛いもの。愛している娘だもの。守ってあげたいのは当然よ!」

「なら、何で…」

「それじゃ、あの子の為にならない!」


茜は右腕に巻いた包帯でごしごしと涙を拭う。


「そんな曖昧な言葉じゃ分からねぇんだよ!!教えて下さいよ、茜さん。そうじゃなきゃ、俺はあんたを許容出来ない!」

「……大和、あんたは二年前の事は知らないわね」




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