呪イノ少女、鬼ノ少女
同情の念に駆られた茜は、九曜を引き継がせるという名目で檻の中から雛子を救い出した。
それからこの村に帰って来て、二人だけの家族ごっこを始めたのだった。
「最初は何にも上手くいかなかった。子育てなんて知らないもん。何やっていいか分かんなかったのよねー」
茜は実の親の顔を知らない。
物心付いたときには、この村で養父に拾われて鬼祓として生きていた。
ただ戦闘の技術だけを磨き、先代である四音の警護を日々繰り返し、まともな生活などしたことがなかった。
だから、雛子との生活を始めても、どうしていいか分からなかったのだ。
一般家庭がどういう風なものなのか知らない。
普通の親が子供にどう接するのか知識も経験もない。
故に、失敗ばかりの日々だった。
風呂に入れては泣かせ、食事を作っては怒らせ、仕事で家を留守にしては悲しませた。
「無責任だったのよー。飼えもしない猫を拾ったわけよね」
それでも茜は必死だった。
ただ雛子を不自由なく育てようともがいた。
他人の生んだ子供でも、一度拾ったからには途中で投げるのは嫌だった。
「ねぇ、茜さん。茜さんはどうして頑張ったの?」
「……多分、一人きりになっちゃった子を知ってたから」
雛子に、一人残された哀れな少女を重ねたからかもしれない。
誰に媚びることなく、周囲の庇護を拒み、文字通り一人で育ってしまった九音。
友人に頼まれていたにも関わらず、茜は九音が育っていくのを、ただ離れたところから見ていることしか出来なかった。
そんな彼女の姿が頭にあったせいか、茜は暗中模索を続けた。
「で、挙句……私は失敗した」
それからこの村に帰って来て、二人だけの家族ごっこを始めたのだった。
「最初は何にも上手くいかなかった。子育てなんて知らないもん。何やっていいか分かんなかったのよねー」
茜は実の親の顔を知らない。
物心付いたときには、この村で養父に拾われて鬼祓として生きていた。
ただ戦闘の技術だけを磨き、先代である四音の警護を日々繰り返し、まともな生活などしたことがなかった。
だから、雛子との生活を始めても、どうしていいか分からなかったのだ。
一般家庭がどういう風なものなのか知らない。
普通の親が子供にどう接するのか知識も経験もない。
故に、失敗ばかりの日々だった。
風呂に入れては泣かせ、食事を作っては怒らせ、仕事で家を留守にしては悲しませた。
「無責任だったのよー。飼えもしない猫を拾ったわけよね」
それでも茜は必死だった。
ただ雛子を不自由なく育てようともがいた。
他人の生んだ子供でも、一度拾ったからには途中で投げるのは嫌だった。
「ねぇ、茜さん。茜さんはどうして頑張ったの?」
「……多分、一人きりになっちゃった子を知ってたから」
雛子に、一人残された哀れな少女を重ねたからかもしれない。
誰に媚びることなく、周囲の庇護を拒み、文字通り一人で育ってしまった九音。
友人に頼まれていたにも関わらず、茜は九音が育っていくのを、ただ離れたところから見ていることしか出来なかった。
そんな彼女の姿が頭にあったせいか、茜は暗中模索を続けた。
「で、挙句……私は失敗した」