呪イノ少女、鬼ノ少女
長かった坂を上り切った。
同時に膝に手をついて、大きく肩で息をする。
「はぁ…はぁ…」
山の中にふいにあらわれた広い空間。
そこを冷涼な風が吹き抜け、汗に濡れた毛先が流れた。
「ふぅ」
ようやく息を整えて、澪は折り曲げていた体を起こした。
同時に視線を前に向ける。
「あ…」
古いあばら屋。
何も語ることの無かった父の家がそこにある。
父のベールに包まれた過去が眠る家。
だが、澪の目は別のモノを捉えていた。
女だ。
袖の長い着物を来た女が父の家を見上げていた。
不思議な後ろ姿だ。
その儚げな背中から目が逸らせない。
「やっと来た」
その女がゆっくりとこちらを振り向いた。
女の片目が澪を捉えた。
視線と視線が交錯する。
「あなたは…」
女の片目が僅かにほほ笑んだ。
「やっと会えた、澪」
同時に膝に手をついて、大きく肩で息をする。
「はぁ…はぁ…」
山の中にふいにあらわれた広い空間。
そこを冷涼な風が吹き抜け、汗に濡れた毛先が流れた。
「ふぅ」
ようやく息を整えて、澪は折り曲げていた体を起こした。
同時に視線を前に向ける。
「あ…」
古いあばら屋。
何も語ることの無かった父の家がそこにある。
父のベールに包まれた過去が眠る家。
だが、澪の目は別のモノを捉えていた。
女だ。
袖の長い着物を来た女が父の家を見上げていた。
不思議な後ろ姿だ。
その儚げな背中から目が逸らせない。
「やっと来た」
その女がゆっくりとこちらを振り向いた。
女の片目が澪を捉えた。
視線と視線が交錯する。
「あなたは…」
女の片目が僅かにほほ笑んだ。
「やっと会えた、澪」