呪イノ少女、鬼ノ少女
「はぁ〜〜〜〜」
長い溜息。
疲れ、呆れ、落胆…様々な色の混じった重苦しい溜息だった。
「来なきゃ良かった」
十六年間、当たり前だった父のイメージが音を立てて崩れていく。
真面目で紳士を絵に書いたような父が、裏でこんなことを調べていたなんて。
いや世間にはよく溢れている話だ。
あの人がまさか…なんてのは、メディアでは飽和状態。
どんな人間でも裏の顔を一つや二つ持っていてもおかしくない、それが当たり前の世の中だ。
が、実際自分の身の回り、しかも家族でそんなことが発覚してしまっては「当然」なんて言葉は浮かばない。
「嘘だ」と叫ばずにはいられなかった。
「澪?固まっているけれど、どうしたの?」
「…えと、言葉が見つからないんです」
実の父が、こんな本を熱心に読んでいたなんて、引くなという方が酷であろう。
「こんな山奥で、こんな本の山の中で…あの人は一体何をしてたんですか」
原因不明の怒りが込み上げて来た。
必死の思いをして山を上って、純度百パーセントの変態に襲われかけて、その先にあったものは父の怪しい裏の顔。
生きていたら、襟首を掴んで尋問していたかもしれない。
澪には、父が生きていないことが激しく悔やまれた。
長い溜息。
疲れ、呆れ、落胆…様々な色の混じった重苦しい溜息だった。
「来なきゃ良かった」
十六年間、当たり前だった父のイメージが音を立てて崩れていく。
真面目で紳士を絵に書いたような父が、裏でこんなことを調べていたなんて。
いや世間にはよく溢れている話だ。
あの人がまさか…なんてのは、メディアでは飽和状態。
どんな人間でも裏の顔を一つや二つ持っていてもおかしくない、それが当たり前の世の中だ。
が、実際自分の身の回り、しかも家族でそんなことが発覚してしまっては「当然」なんて言葉は浮かばない。
「嘘だ」と叫ばずにはいられなかった。
「澪?固まっているけれど、どうしたの?」
「…えと、言葉が見つからないんです」
実の父が、こんな本を熱心に読んでいたなんて、引くなという方が酷であろう。
「こんな山奥で、こんな本の山の中で…あの人は一体何をしてたんですか」
原因不明の怒りが込み上げて来た。
必死の思いをして山を上って、純度百パーセントの変態に襲われかけて、その先にあったものは父の怪しい裏の顔。
生きていたら、襟首を掴んで尋問していたかもしれない。
澪には、父が生きていないことが激しく悔やまれた。