呪イノ少女、鬼ノ少女
「鬼というと、二本角で虎のパンツ履いた真っ赤なおじさんじゃないのかな、普通」


翌日の昼下がり、澪は借りている部屋の机の前で、律儀に正座をして本を読んでいた。


正座は苦手だが、幅の狭い机が壁にくっ付いているため足を延ばす余裕がない。

そうといってあぐらというのも、年頃の乙女にははしたない。


そんな訳でやむなく足が痺れるのを承知で正座を作っているのである。


「…人の魂を糧にその力を強めていく。多くの鬼は、人の慣れの果てと言われている。強い妄執を…」


今読んでいるのは澪の父・透が集めていた本の一冊で、昨日拝借してきたものだ。

年代は不明だがとにかく古い書物で、時々文字が掠れその上慣れない言葉が多く、かなりてこずっている。


「」


後ろから伸びて来た指が文字をなぞり、不快な一文を読み上げた。


「びっくりした…雛ちゃんかぁ」

「ごめんなさい、澪さん。随分悩まされてるみたいですね」
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