呪イノ少女、鬼ノ少女
「その、一人って…凄く寂しいですよね」


父を失ったあの時の自分を思い返しながら、澪は痛々しいほほ笑みを浮かべた。

そうしたのは、同じ苦しみを知る九音への親愛の表れ。


『可哀相』なのは自分だけではない、そう思ったからだ。


だが、九音は目を閉じてゆっくりと首を左右に振った。


「私にはあなたがいたもの。だから、寂しいなんて思ったことは無いわ」


九音は澪の手を両手でぎゅっと握って、真っ直ぐに瞳を合わせた。


「その言葉の意味…分からないです」


澪は視線を左下に逸らして、ポツリと口にした。

それは昨日、九音に会った時から持っていた疑問だった。


「どうして…?どうして、私なの?」


昨日初めて会ったばかりの、赤の他人の自分を、九音がどうして好いているのかが分からなかった。


同性だが、それでも好かれているという事自体は嫌ではない。

が、その事を受け入れられないのも事実だ。


「昨日も言ったでしょう。あなたは私の救いだから…」

「それが分かりません。私はあなたの事なんて何も知らない…何も分からないんです。なのに、どうして救うなんて出来るんですか!」


澪は九音の言葉を遮って、一気に捲し立てた。

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