愛を捧ぐ、溺愛総長さま
「ただいまー」
しーん、と音が一切しない空間に安心を覚える。
「まだあの人が帰ってきてないんだ」
ガチャっ
「おい」
ビクッ
「おい、そこに突っ立ってないで早く前行けって」
安心したのも束の間、あの人と帰宅時間が重なってしまった。
あの人とは、ママの再婚相手。
私をどん底に落とした張本人だ。
ママはなんであんな人と結婚なんてしたんだろうか。
そんな事を一生声に出せず私は
今日も自分の気持ちに蓋をする。
「なあ、ちょっとこっちこい」
リビングに呼び出されて階段を降りる。
あー、またあれをされるんだ。
ーバチンっ
ドアを閉めた瞬間、背中に強い痛みが走った。
あまりの痛みに私は声を漏らしてしまったんだ。
声を出すと本格的にし始めるのに、私は声を出したんだ。
この瞬間、私は抵抗するのをやめた。
そして意識を手放した。