もうこれ以上、許さない
「はいお待たせで〜す!
餃子と、柚子塩ラーメンに、いつもの味噌豚骨ね〜」

「大将…
今大事なとこ!」

「あ、まじで?
じゃあ俺が一肌脱ごっか?」

「いいよ余計だよ、仕事してっ?」

「はいはい、じゃあごゆっくり〜」
 
2人のやり取りに紛れて、なんとか涙が引っ込んだあたしは…
大将さんに会釈だけ返した。


「…とりあえず食おっか!
はいお箸。
と、(餃子の)タレ入れるよ?」

「…ありがと」

「うわ、可愛い…」

なにがっ?
と、向けられた視線にしかめ顔を返すと。

「いやあまりに素直で…
ごめん、めちゃくちゃ抱きしめたい」

「はあっ!?」

「ごめん!
そんな怒んなくてもっ…」

怒ったんじゃなくて、心臓飛び出るかと思ったじゃん!

誤魔化すように「いただきます」と手を合わせて、後を追った風人と一緒に食べ始めると。


「うまっ!
なにこの絶妙なコクと、爽やかな柚子のハーモニー」

「いやこの味噌と豚骨のハーモニーも食ってみ?
世界変わるよっ?」

「ええ〜、それは大げさっ」
と思いきや。

「うそ、おいしっ!
あたし味噌ラーメン好きじゃないのに…
世界変わった!」

「だろ〜?
もっと食っていいよ」

「じゃああたしのもあげる」
って、また流されてる!

ダメだ、風人といると楽しくてつい…
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