もうこれ以上、許さない
「じゃあ…
なんで泣いてるのか、聞いてもい?」

「菊川さんには、関係ない事だから」

「でも聞きたい。
教えて欲しい」

「もおしつこいな!」
風人があたしの事忘れるからじゃん!

「っ、誉の事だよっ。
あたしは誉に運命感じて欲しいのにっ…
菊川さんが邪魔するからじゃん!」

記憶喪失になったのはあたしのせいだし、忘れたいくらい苦しめたのもあたしなのは解ってる…
解ってるけど、あたしだって苦しいよ!
楽しかった思い出だって、いっぱいあったはずなのに…
何もかもなかった事にするなんてあんまりだよっ。

存在ごと消す事ないじゃん!


「…そっか」
悲しげに呟く風人。

傷付けたくはないのに、結局あたしは風人を苦しめる事しか出来なくて…
胸が潰れそうになる。


「けど、ほんとに邪魔ならさ?
なんであいつの前で、俺の居場所作ってくれた?」

「…何の事?」

「タグのケース、あれわざと落としてくれたじゃん。
あいつもショック受けた顔してたから、たぶん気付いてたと思う」

うわ、バレバレだったか…
でもなんで誉がショック受けるの?
まぁそれは見間違いだとして。

「わざとじゃないよ。
都合よく取らないで」
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