もうこれ以上、許さない
「いーや、わざとだね。
だって月奈ちゃんの方から、俺に頼んだりしないじゃん」

うっ、確かに…

「あ〜もうるさい!
じゃあ邪魔じゃないし、運命だよっ」

「うわ適当っ。
じゃあ俺、運命って思っとくよ?」

「勝手にすればっ?」

だけど、もし運命なんてものがあるとしたら…

「…あたしも、運命だと思うから」

「っ、マジでっ!?」

「うん、運命だよ。
絶対結ばれない運命」


そう、どんなに想っても想われても…
それは過去を忘れてるという、(もろ)い状況の上でしか成り立たない。
記憶が戻れば、その気持ちは玉城さんにあって…
あたしは風人の重荷でしかなくて。
苦しめた存在でしかなくて。
それを忘れてるのをいいことに、フラれた分際で一緒にいたら…
また苦しめるだけ。

だいたい、さんざん苦しめたあたしにはもう…
愛される資格はもちろん、愛する資格だってないと思う。


「そんな運命なら、変えてやる」
そう言って、バクバク餃子を放り込む風人。

あたしもラーメンのスープを、高鳴る気持ちと一緒に飲み込んだ。



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