もうこれ以上、許さない
数日後。
その日は閉店間際の行列が少なくて…
早く帰れそうだと思いながら、最後のお客様を迎えると。

「誉っ!
もう仕事終わったのっ?」
繁忙期のはずなのに…

「うん、この3日間で詰め込んだ。
そうでもしなきゃ、ぜんぜん月奈との時間が取れないから」

あたしのためにっ?
このあとの時間を作ったって事?

「っ、勝手にそんな事しないでよっ。
あたし、約束してないよねえっ?」

「だからだよ。
電話しても出ないし。
じゃあ電話出来る時間をLINEしてって言っても、それすらしてくれないし。
こうやって強行突破するしかないだろ?」

そーいえば!
ヤバい、風人の事ですっかり忘れてた…

「…ごめん。
でもあたしに予定があったらどうするつもりだったの?」

「てことは、今日は予定がないんだ?
よかった」

うっ、墓穴…
しかも新人さんのお世話係って口実も、そろそろ時効だろうし。
なによりLINEを忘れてたのは申し訳ない。
それに…

「…わかった、いいよ。
じゃあ先に預かり品の受付するね」

風人の事を紛らわすには、ちょうどよかった。

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